Henry Taylor
March 19May 7, 2011

ヘンリー・テイラー
2011年3月19日 – 5月7日
BLUM & POE (ロサンゼルス)

BLUM & POE では、ロサンゼルスを拠点とする作家ヘンリー・テイラーの当ギャラリーでは初となる個展を開催いたします。

テイラーの作品において、芸術と生活という線引きは、しばしば不可分であるといえます。ごくパーソナルな具象絵画やトーテムポールのような巨大なアッサンブラージュ作品など、媒体を自由に組み合わせながら制作を行っています。親しみをもって題材に取り組む中で、彼は自身が地元と呼ぶロサンゼルスのダウンタウンのコミュニティーに根ざした、地元者特有の眼といえるようなものを発展させてきました。ニュアンスを帯びたポートレイト作品は、身近な親しい友人、家族、恋人、ヒーロー、亡くなった人物と生きている人物、現実の人物と架空の人物といった者たちにセンチメンタルな光を注ぐかのごとく捉えられています。甥っ子や姪っ子がくつろいで椅子に腰掛けている様子を描いたポートレイトにも、誇張して描かれた堂々とした様子のセリーナ・ウィリアムズやジャッキー・ロビンソンのポートレイトにも平等に重きを置いているように、彼の人生や考え方を培う中で重要であったこれらの人々は、ヒエラルキーのない明け透けな大衆の肖像となります。テイラーは、自身のコミュニティーを鋭く記録していくドキュメント作家であり、まさにアリス・ニール、トゥールーズ・ロートレックやジョン・シンガー・サージェントといった作家たちのように、社会観察者の視点を持った画家の系譜にいるといえるでしょう。

テイラーの立体作品の多くは、タバコの箱、シリアルやビールの箱、スーツケースといった多岐に渡る素材に中途半端なフレーズや抽象的なシェイプを描きこんでいく、即興的な方法で制作されています。道端やゴミ置き場に捨て去られていたガラクタやゴミは、彼の手によって立体作品の構成物の一部や、ペインティング用のキャンバスの一部として用いられることで作品の恰好の素材へと成り変わります。ここ最近、彼が収集しているクロロックス社の漂白剤の空き容器は、スプレーで黒く塗られ、ほうきの柄に取り付られることでアフリカの部族の仮面や踊る彫像の様に見立てられます。さらに、ベニヤ板の上から伸びた木の棒に雑多なガラクタを組み合わせた立体物は、ユニークなハンドメイドの建築物としてシャビーな質感を持った物質性という定義を得て、生まれ変わります。これらは、ファウンド・オブジェクトの集積として存在し、作家によって周囲と密接に関連付けられ、再び意味を持たされ息を吹き込まれるのです。

テイラーはストリートに根ざした作家であるといえるでしょう。地元の景色、音といった要素が彼のスタジオでの創作活動に影響を与え、中でも彼のスタジオや生活圏を行き来する、(その多くはただ一度だけの)ポートレイトのモデルたちが与えてきた影響はとりわけ強いものです。彼らは、作品中に描かれた歴史的な人物像と共に、威厳と魂をたたえながらテイラーの世界観の中に居場所を見つけるのです。 

ヘンリー・テイラー
1958年、カリフォルニア州オックスナード生まれ。カリフォルニア芸術大学 (カルアーツ) にて油彩を学ぶ。現在、ロサンゼルスのダウンタウンを拠点に活動。これまで「Body Language」 スタジオ・ミュージアム・イン・ハーレム (2007年、ニューヨーク)、サンタモニカ美術館 (2008年) などで展覧会を開催。近く、ロサンゼルス郡立美術館での個展「Human Nature: Contemporary Art from the Collection」 も予定されている。さらに、2006年の「Red Eye」、2008年の 「30 Americans」 Rubell Family Collection (マイアミ) 、マシュー・ヒッグスのキュレーションによる「At Home/Not at Home: Works from the Collection of Martin and Rebecca Eisenberg」 バードカレッジ付属ヘッセル美術館 (2010年、ニューヨーク州アナンデール・オン・ハドソン) といったグループ展にも多数参加している。