Parergon: Japanese Art of the 1980s and 1990s
Curated by Mika Yoshitake
February 14March 23, 2019

「パレルゴン:1980年代、90年代の日本の美術」
キュレーター: 吉竹美香
BLUM & POE (ロサンゼルス)

1期: 2019年2月14日 (木) – 3月23日 (土)
パブリック・オープニング: 2月14日  (木) 18:00 – 20:00
2期: 2019年4月6日 (土) – 5月 19日 (日)
パブリック・オープニング: 4月6日 (土) 18:00 – 20:00

BLUM & POE (ロサンゼルス)では、吉竹美香のキュレーションのもと、「パレルゴン」と題する1980年代、90年代の日本美術を検証する展覧会を開催いたします。

アブジェクト・ポリティクス、超越するメディア、パフォーマティビティ、サタイア、シミュレーションといったテーマに分かれた本展では、ペインティング、立体作品、パフォーマンス、ノイズ、映像、写真といった多岐にわたる媒体を通じて、様々な作品群を紹介していきます。2会期にわたり、当ギャラリー及び関連会場で行われる本展では、中原浩大、宮島達男、中村一美、小沢剛、柳幸典をはじめとする総勢25名の作家による作品群が展示されます。

本展のタイトルである「パレルゴン」という語は、80年代に若い世代作家を中心に生まれたニュー・ウェーブの動向と結びつき、多くの日本人作家たちを紹介してきた東京に存在した画廊、ギャラリー・パレルゴン (1981 – 1986年) にちなんでいます。その名称は、ジャック・デリダにより1979年に発表され、美術作品の「枠組み」についての疑問を投げかけた論考のタイトル「パレルゴン」に由来しており、その言説は、当時多くの作家や批評家に影響を与えました。 

本展では、今日の日本の現代美術を把握し、理解を深めていく上で重要となるこの20年間 (1980-1999年) に生み出されてきた独特な作品群が一堂に会することとなります。1970年代に「もの派」によって展開されたオブジェや関係性についてのコンセプチュアルな再考の後に続くこの時代には、インスタレーション、パフォーマンス、また実験的な多ジャンルでの実践を通して探求を行ってきた言語やメディアを用いた作家たちの新しい批判的試みが花開きました。

アメリカとヨーロッパでは、いわゆる「ピクチャーズ・ジェネレーション」と呼ばれる作家たちによって特徴付けられたシュミラークルや脱構築といったポスト・モダン的な美学思考を背景に表現主義へと回帰する中、日本ではバブル経済の発展と崩壊によってもたらされた非常に特異的な社会的、地政的状況を背景として、消費主義社会といった時代性がはっきりと現われるようになります。作家たちは、既存の美術を乗り越えていくような美術言語を模索し始め、実験的な電子音楽、ジオ・ポリティカルあるいはコンセプチュアルな写真作品、消費文化からの流用といった多種多様な表現や媒体によって、アンダーグラウンドの文脈にあるサブカルチャーの要素を自身の美術的領域と融合していくような試みも行われていくようになりました。また、形態、空間、言語の新たな抒情性から表出されるような歴史的な前衛やモダニズム的な美学の内在化を打ち出していく作家たちも現れるようになります。

ポスト昭和のこの時代には、ジェンダーポリティクス、核戦争、ナショナリズムへの批判といったテーマが、特に関西地方を拠点として活動する作家たちを中心に取り上げられるようになります。一方で、90年代半ばに見られるアーティスト集団の登場や、戦後の日本の前衛美術を位置付け直すようなブラックユーモア的なパフォーマンスやコンセプチュアルな作風も見られるようになります。このような活動は、ネオ・ポップと呼ばれる世代の爆発的な台頭の先駆けとなるような、特異性を持った「幼稚化する資本主義」から生み出されたサブカルチャーの影響を反映していると言えるでしょう。

「パレルゴン」展は、当ギャラリー開廊25年の節目の年に開催されます。本展は、代表であるティム・ブラムが、その数年間の東京滞在の中で日本の美術シーンに関わってきた、まさに本展のテーマと同時代である、90年代初期から始まった当ギャラリーの歴史について言及し、我々が長年紹介してきた日本美術の歴史的な領域についての架け橋となるものです。本展は、「もの派」という芸術動向の台頭と、村上隆や奈良美智といった作家で知られる「ネオ・ポップ」と呼ばれた世代の間に横たわる日本美術における重要な数十年間について掘り下げていく試みと言えます。 

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さらに、本展は、共同開催となるノナカ・ヒルでの展示や、複数の会場で行われる日本のノイズミュージック、電子音響音楽といったジャンルを代表するEYE、SAICOBAB、大友良英、池田亮司といった日本人アーティストたちによるパーフォマンスと合わせて、2会期にわたって、BLUM & POE (ロサンゼルス) で開催されます。数々の作家による当時についての証言や、本展キュレーターの吉竹や、「Japanoise: Music at the Edge of Circulation」(デューク大学出版、2013年)の著者である デヴィッド・ノヴァク氏による新しい論考を取り入れた図録も、刊行予定となっています。

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Part I

荒木経惟
畠山直哉 
池田亮司
石川順惠
宮島達男 
森山大道 
中村一美
大竹伸朗 
小沢剛
高梨豊 
椿昇 
柳幸典 

Part II

EYE
灰野敬二
木村 友紀
森万里子
中原浩大
中村政人 
岡崎乾二郎
大友良英
佐藤ジン
Small Village Center 
渡辺克己 
柳幸典
ヤノベケンジ
横尾忠則
YoshimiO / SAICOBAB

Nonaka-Hill

畠山直哉 
石川順惠 
角永和夫 
森山大道 
中村一美 
築地仁

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パブリック・プログラム 

池田亮司
「100 cymbals」
演奏: ロサンゼルス フィル・ハーモニー
会場: ゲッティ・ウォルト・ディズニー・コンサート・ホール
日時: 2月15日 (金)

EYE
日時: 4月6日 (土) 
会場: BLUM & POE (ロサンゼルス)

パネル・ディスカッション
岡崎乾二郎、柳幸典ヤノベケンジ (出展作家)、吉竹美香 (キュレーター)
日時: 4月7日 (日)
会場: Japan House

 

灰野敬二
日時: 4月7日 (日)
会場: Zebulon

会場: 大友良英とデヴィッド・ノヴァクによるトーク
日時: 5月4日 (土)
*詳細は追って発表いたします。

大友良英、Saicobab
日時: 5月4日 (土) 
会場: Zebulon  (ロサンゼルス)

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本展は、当ギャラリーの特別企画展を担当するゲスト・キュレーターである吉竹美香によって企画されます。吉竹は、戦後の日本美術についての幅広い学識を背景に、後に1980、90年代において展開されていった様々な分野やサブカルチャーについての探求の流れを切り開いていった、1960、70年代より発生した美術についての考え方の重要な変遷についての検証を続けてきました。その試みは、彼女のキュレーターとしてのポジションをユニークなものにしています。ロサンゼルス現代美術館で開催され、その後国際的な巡回展となった「© MURAKAMI」 (2007-09年) 展における企画コーディネーター、グッゲンハイム美術館 (ニューヨーク) で開催された「Lee Ufan: Marking Infinity」(2011年) 展における、キュレートリアル・リエゾン、 ワシントンD.C.にあるハーシュホーン博物館・彫刻庭園から始まり北米の6会場を巡回した「Yayoi Kusama: Infinity Mirrors」(2017-19年) 展における企画キュレーターとして、様々な美術機関で大規模な展覧会に携わってきた経験は、多様なキュレーションの領域同士の接続を可能にしてきました。2012年には、BLUM & POE (ロサンゼルス) で開催された「太陽へのレクイエム: もの派の美術」をキュレーションした功績で、AICA-USA(国際美術評論家連盟アメリカ支部)より表彰されています。 

吉竹は、2011年より2018年の間、ハーシュホーン博物館・彫刻庭園に所属し、キュレーターとして活躍していました。同館では、「Yayoi Kusama: Infinity Mirrors」展 (2017-19年)、「Shana Lutker: Le 'NEW' Monocle, Chapters 1-3」展 (2015-16年)、「Le Onde: Waves of Italian Influence」展 (2015年)、Speculative Forms 展 (2014-15年)、「Days of Endless Time (with Kelly Gordon)」展(2014-15年)、「Gravity's Edge」展 (2014年)、「Sitebound: Photography from the Collection」展 (2014年)、「Dark Matters (with Melissa Ho)」展 (2012年)、「Ai Weiwei: According to What?」展 (2012-13年) といった数々の作品の企画やコーディネートに携わっています。また、現在は、ロサンゼルス・カウンティ美術館において開催予定の大規模な回顧展のゲスト・キュレーターを務めています。

また、吉竹は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で、美術史における修士課程ならびに博士課程を取得しました。当ギャラリーで開催された「太陽へのレクイエム: もの派の美術」展やその論考は、自身の博士論文を元に展開されたものです。2014年には、アートペース (テキサス州サンアントニオ) での国際的なアーティスト・イン・レジデンス企画に、ゲスト・キュレーターとして参加しています。また、現在開催中の、テキサス州ダラスのザ・ウエアハウスを会場とした「Topologies」展 (2018年5月14日 –2019年4月13日) でもキュレーションを行っています。